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  <お酒にまつわることわざ集>


昔から伝わることわざで賢くお酒と付き合おう!


昔の人はいいことゆ〜たもんだ・・・


●赤いは酒の咎(とが)
「顔が赤いのは酒の仕業で、決して私が悪いのではありません、鬼だなどとは思ってくださるな」という軽口。

●朝酒は門田を売っても飲め
朝酒を礼賛したことばで、朝酒はどんな工面をしてでも飲む価値があるということ。門田は屋敷の入り口にある田で、その家の最もよい田。酒飲みにいわせると「五割の金を借りてでも、朝酒は飲む価値がある」という。
<類諺>朝酒は女房を質に置いてでも飲め。朝酒後を引く。

●朝寝酒は貧乏のもと
「早起きは三文の徳」というように、朝早く起きて、せっせと働けば自然に生活も楽になるが、朝寝をしたうえ、朝酒を飲むようでは貧乏はまぬがれない。朝寝、朝酒、朝湯は身代をつぶす。

●新しい酒を古い革袋に盛る
新しい内容を昔ながらの古い形式に当てはめる。

●新しき酒は新しき革袋に盛れ
新しい考え方は新しい表現のしかたで現すべきだということ。

●駆けつけ三杯
酒の席に遅れてきた者に、罰として続けざまに酒三杯を飲ませることを言う。

●葷酒山門(くんしゅさんもん)に入るを許さず
葷(くさい野菜)と酒は修行を乱すから、寺の境内に持ち込んではいけないということ。禅寺や修養道場の門のわきなどには、この文句を刻んだ石が立 っているが、このようなものを立てたところを見ると、葷や酒を持ち込んで食べたり飲んだりする者がいたにちがいない。くさい野菜の代表はニンニク だが、ニンニクにはいろいろな有効成分がふくまれていて暑気あたりや疫病によくきき、駆虫にもすぐれた効き目がある。また肝臓を守り酒の害を防ぐ から、酒を飲むとき、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、ネギなどをいっしょに食べる事は合理的である。葷と酒とを組み合わせて、しかも、山門に入るを 許さずなどといったころは、今の製薬会社の「酒を召し上がるときには○○(肝臓の薬)を」などという広告よりはずっと味わいが深い。

●鯨飲馬食(げいいんばしょく)
むちゃくちゃに飲み食いすること。

●下戸と化け物はない
この世に酒が嫌いでぜんぜん飲めないという者はいない。酒の飲めない人も、けいこしだいで飲めるようになる。昔の人は世の中にないものとして、下戸、化物、それに女子の医者、男の取り上げ婆をあげている。

●下戸の肴荒らし
酒の飲めない人が膳の上の肴をかたっぱしから食べあらすこと。

●下戸の建てた蔵はない
下戸は酒の飲めない者、上戸は酒の飲める者で、蔵を建てるとは財産をつくり上げることである。上戸は酒に金を使うが、下戸は飲まないのだから、酒代をためておいただけでも、ずいぶんお金が残るはずだ。ところがそうでもないらしい。「下戸は働きなし」というが、下戸は交際下手で出世がおそく、上戸は飲むだけ働き者だともいうのであろうか。とにかく、下戸が蔵を建てたとは聞いたこともない。だからと言って上戸が蔵を建てたという話も聞いたことがないが・・・

●下戸の手剛(てごわ)
上戸は酒にきたないものだから酒をえさにすればうまく誘惑することができるが、下戸が相手ではそれはきかない。誘惑するほうからいえば、まことにやっかいな相手である。

●盃にぼうふらがわく
早く飲めと酒をすすめる言葉。盃を置いたままいつまでも飲まないでいると、水たまりにぼうふらがわくように、盃の中にぼうふらがわくというのである。

●酒外(さかはず)れはせぬもの
酒の好きな人と一緒のときには、ある程度調子を合わせるのがよい。仲間か らはずれて自分だけ飲まないのはよくない。

●酒屋へ三里豆腐屋へ二里
「ほととぎす自由自在にきく里は酒屋へ三里豆腐屋へ二里」で、片田舎の不 便な土地のたとえ。

●酒が酒を飲む
酒飲みは酔うにつれて馬鹿飲みをするものである。はしご酒をして、ついにつぶれてしまう人もある。

●酒買って尻切られる
好意でしてやったのにかえって仇(あだ)をされること。相手が酒乱でなくても酒は人の気を高ぶらせるから、人に酒をごちそうしたのがもとで、乱暴されるようなことがある。

●酒極まって乱となる
酒は楽しむために飲むものだが、飲めるだけ飲むと、あとは喧嘩になるのが普通である。

●酒と朝寝は貧乏の近道
どんな人でも大酒を飲み朝寝をして仕事をなまけていれば、たちまち貧乏になる。酒歌に「少しずつ杯につぐ酒なれど家も田畑もついにかたむく」とうたっている。

●酒と産には懲りた者がない
酒とお産では相当つらい苦しい思いをするのだが、やめたという者もない。値上がりはしても酒はどんどん売れるし、産児制限を叫んでも人口はどんどん増える。

●酒と煙草はのんで通る
酒と煙草はむだなもので、飲まなくても過ごせるが、飲んだから貧乏するわけでもなく、さりとて飲まぬから金持ちになるということもないから、飲むだけ得というもので、飲まぬ者は働きがないわけだ。下戸の建てた蔵はない。御神酒(おみき)の上がらぬ神はなし。

●酒に飲まれる
酒に酔いつぶれて自分の本心を失うこと。西洋でも「酒が入れば知恵が逃げ出す」と言っている。

●酒に別腸あり
体の小さい人でも、大酒を飲む人がいる。酒の量は、体格の大小に関係しない。それは、酒の入る腸は別であるからだというのであるが、アルコールは水と違って、胃壁から吸収される。それで、1リットルの水を飲むことができなくても、酒なら斗酒も辞せずということになる。

●酒の燗は人肌
酒の燗は熱くてもいけなく、体温くらいがちょうど良い。

●酒飲みの尻切れ襦袢(じゅばん)
酒飲みは酒代にいそがしくて、身なりにかまうゆとりがないということ。しかし、今は逆で、酒飲みはみな堂々たる風采(ふうさい)をしている。

●酒飲み本性違わず(たがわず)
酒飲みは、どんなに酔っても本性を失うことはない。上戸(じょうご)本性違わず。酒の酔い本性違わず。

●酒は燗 肴は刺身 酌はたぼ
酒は燗のよさが肝心であり、酒の肴には刺身が一番で、酒の酌は美人に限る。これ以上説明の必要はないだろう。

●酒は気つけ薬
酒は衰えた気力を回復させ活気を持たせるのに効果があるものだということ。しかし度を過ごすと乱におちいる。酒は百薬の長。酒は天の美禄。

●酒は古酒 女は年増(としま)
酒は水っぽい新酒よりも去年造ったこくのある濃い酒がよく、また、女は娘などよりも、らん熟した年増女がよい。

●酒は三献(さんこん)に限る
酒はあまり強くないほうがよいということ。昔、公家の間では、膳(ぜん)を出して杯に三杯飲ませてから膳を引くのを一献とし、人をもてなすには、これを3回繰り返したが、酒はそれくらいでやめるのがよく、それ以上飲むと酒のために乱れることが多い。

●酒は諸悪の基(しょあくのもと)
世の中の悪事と言う悪事はほとんどは酒からおこる。酒に三十五の失有り。酒に三十六の罪有り。

●酒は天の美禄(びろく)
酒は天から授かったありがたい知行である。こんなうまいものを飲まない者はやぼの極みだ。酒飲みは酒のことを美禄ともいう。

●酒は飲むとも飲まるるな
酒は飲んでもかまわないが、酒のために酔いしれて本心を失うような飲み方をしてはいけない。酒は適度に飲むべきで、「酒が酒を飲む」ようになってはおしまいだ。

●酒は飲むべし飲むべからず
酒は人によってはいくら飲んでも差し支えないが、人によっては一滴も飲まないほうがよい。酒は飲むとも飲まるるな。

●酒は百毒の長
「酒は百薬の長とはいえどよろずの病は酒よりこそ起これ」で、酒にはよいところが少しもなくて、毒であるということ。しかし、酒は適量ならば消化を助け、新陳代謝を盛んにし便通を整える。

●酒は百薬の長
酒は適度に飲めばどんな薬よりも効き目があるということ。しかし身を誤るのもまた酒のためである。

●酒は本心をあらわす
人は酒を飲むと、ふだん包んでいた本心をさらけだす。西洋でも「酒の上のことは本当である」といっている。酔って本性あらわす。

●酒はやめても酔いざめの水はやめられぬ
酔いざめの水はうまいということ。そのうまさは酒以上である。

●手酌貧乏
人から酌をしてもらわないで自分の手で酌をして飲むのは、いかにも貧乏くさいということ。独酌を楽しむ隠者は別として、酒は人から酌をしてもらって飲むのがよい。それも「手酌5合たぼ1升」で、美人の酌となれば、これは豪勢というものであろう。

●生酔い本性違わず
酒に酔っても、もともとの性質は変わらないということ。

●人酒を飲む酒酒を飲む酒人を飲む
酒を加減して飲む者にとっては、酒は百薬の長だから飲んでもよいが、酒に飲まれるようになってはいけない。酒は飲みはじめるには、自制心があるから人が酒を飲んでいるのだが、だんだん酔ってくると、酒の味を楽しむより惰性で飲むようになり、そのうちにすっかり自制心をなくして乱れてしまうのが酒飲みの常である。

●冷酒と親の意見は後できく
冷酒と親の意見は、その時はなんとも思わないが、後で効き目が出てくる。

●礼に始まり乱に終わる
酒盛りは、初めは礼儀正しく進められるが、しまいには、礼儀などまったく顧みなくなってしまう。弱い人間が気違い水といわれる酒を飲む以上、避けられないことなのかもしれぬが、あまりほめたことではない。


     ―――集英社「暮らしの中のことわざ辞典」より―――


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